Words and Feathers

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【短編小説連載】いつかのまほらば『エピローグ』

五日間のおはなし。後日譚。
リンク:第一回第二回第三回第四回第五回

 暗闇の中で私は目を覚ました。何も無い、正真正銘の真っ暗闇だった。
 もし音すらも聞こえなかったら、私は自分が土の中へ埋葬されてしまったと思っただろう。自分の横たわる場所の周辺から、色んな機械の動く音がし、離れた場所を誰かが歩いているのがわかった。消毒液のにおい。恐らくここは病院だ。
 意識がはっきりとするにつれ、身体のあちこちに熱を持っているのが感じられた。右腕は全く動かない。左手で闇の中を探っていると、何かが倒れて床に衝突する音が響いた。すぐに誰かがドアを開けて駆け寄って来る。
「大丈夫ですか? わかりますか?」
 慌てたような女性の声だった。明かりを点けて、と言おうとしても声が出ない。乾燥した空気が喉に流れ込んで苦しくなり、激しく咳込んだ。息を吸うだけで全身が痛くて、呼吸が浅くなり、また咳込む。
「落ち着いて息をしてください」
 どうしてここはこんなに暗いの? とにかく明かりを点けて、暗いのは嫌。そう言いたいのに出てくるのは咳だけだった。
 またドアが開き、足音が近付いて来た。
「落ち着いて・・・僕の声は聞こえる?」
 深く響く声が、私の周りの空気を震わせ全身を包み込む。その響きは私に、谷あいにひっそりとたたずむ灰緑色の淵を思い出させた。私はうなずいた。
「・・・僕が見える?」
 私は首を横に振った。闇を探ろうとして宙を彷徨っていた私の左手を誰かの冷たい手が握った。
「大丈夫・・・心配しなくていい」
 ぱしゃん。
 自分の涙が、耳の窪みに落ちて音を立てる。氷のように冷たい指が私の頬をぬぐった。

― Fin. ―


<あとがき>

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
こういう理由から作り始めたお話だったのですが、全然違う方向に行きました。
でも、救いの無い話、ではないと思います。(ですよね?)
ええ、小説としては救いようの無い出来かも知れませんが・・・。

元々オリジナルでどんどん何かを作るタイプでもないので、
これも筋書きはどっかにあるようなものかも知れません。
筋書きより、どう表現するかの方に力点を置いてみた感じです。
読んでいただいた方の心に響く表現が一箇所でもあったなら、とても嬉しく思います。

小説の舞台としてイメージしたのは、以下の場所でした。
森: New Forest / UK
草原: Haworth / UK
断崖: Seven Sisters / UK
全部、訪ねたことのある場所です。私はイギリスの風景がとても好きです。
そこに居る自分を想像したくて書いてみたのかも知れません。
なら、もう少し幸せな話を書けばいいのに・・・。
次は本当に「あまあま」なのを書いてみたいです。

評価はともかく『読んだよ』という意味で、
ぽちっと拍手して頂けると、とても嬉しいです。
お付き合い頂いてありがとうございました!
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